あなたのおへそ


耳にふれられると
星のピアスがちくりと痛んだ。

ピアスの痛みは
わたしの耳に伝わって
心臓にまで伝わるみたいだった。


開けたばかりの穴
買ったばかり、きみどりいろの
星のかたちをした小さなピアス。


馴染んできた髪の色。

きらきら光るまぶたとつめ。

わたしじゃないみたいなわたしを
好きだと言って抱きしめる。


ほんとうの気持ちは
きっと誰にもわからない。

誰だって嘘は言えるから。

誰だって幸せでいたいと思うから。


わたしはあなたのおへそになりたい

いつだってそう思う。


彼のおへそについたピアスをさわる。

ひんやりする、
シルバーのピアス。


「あなたのおへそになりたい」


あなたのまんなかでいたい。

他の女の子と
仲良くするなんて許せないの。

わたしはいつだって
あなたのすべてでありたいの。


言葉じゃない、
抱きしめる強さじゃない、
気持ちはどうしたって伝わらない。

あなたの気持ちだってわからない。

だってわたしの気持ちすらわからない。

わがままなんて言いたくないの、
あなたにだけは嫌われたくないから。

でもあなたを想えば想うほど
わがままばかりになるの、
わたしのことばかりになるの。

ねえ
わたしのことわかってほしい。
表面だけを見ないでほしい。


あなたはわたしの耳にふれる。

もしあなたがわたしの耳になるのなら、
わたしの気持ちを聞いてほしい。

ほんとうの気持ちだけを聞いてほしい。

あなたの気持ちを聞きたい。

もちろん、愛の言葉も聞いていたい。

嘘なんて無い世界に
あなたとふたりだけで
生まれてきたかったね。